こんにちは、背後です。
何やら、つい最近にも同じ挨拶をしたような気がしますが……。
タイトルの通り、8/12に開催された札幌オフに顔を出してきました。
前回と同様、役に立つことは書けませんが、軽くオフレポなど上げてみようかと思います。
完全に背後視点のため、キャラクターのイメージを損なう危険がありますのでご注意を。
2007年7月~8月の間にアップされたシリーズ記事。
寅靖と、彼が想いを寄せる翳・彩蟲(彩虹)嬢を中心に据えた物語です。
【記事一覧】(以下、時系列順)
7/14付:【音】-月齢29 新月-
7/17付:【血】-月齢2 繊月- 〔前編〕 〔中編〕 〔後編〕
7/18付:【幻】-月齢3 三日月- 〔前編〕 〔後編〕
7/22付:【花】-月齢7 上弦-
7/23付:【砂】-月齢8-
7/25付:【海】-月齢10- 〔前編〕 〔中編〕 〔後編〕
7/30付:【歌】-月齢15 満月- 〔I〕 〔II〕 〔III〕 〔IV〕
8/3付:【環】-月齢19-
8/4付:【影】-月齢20 二十日月-
8/9付:【想】-月の裏側- 〔I〕 〔II〕 ※背後打ち明け話
背後視点の打ち明け話、第2弾です。
こちらも苦手な方はスルー推奨。
こんにちは、背後です。
暑い日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
……私は元気に死にかけております(良い笑顔)
もともと血圧が低い上、体温調節機能の弱い身には色々と堪えますね。
さて、今回はここ最近の流れを総括してこぼれ話を幾つかお届けしようかと思います。
(思ったより長くなってしまったので二部構成です)
例によって背後視点なので、苦手な方はどうかスルーしてやって下さいませ。
「――わざわざ呼び出して、何の用だ?」
この日の午後。
俺は自宅の離れに位置する道場で、“あいつ”と向かい合っていた。
床に立つ裸足の裏に、冷たい板張りの感触が伝わる。
「一つ、確かめてもらおうと思ってな。俺が、牙の無い虎かどうかを」
「やれやれ……お前も根に持つね」
軽い口調で肩を竦めつつも、そこに茶化すような気配はない。
“あいつ”の目を真っ直ぐに見据え、俺は言葉を続けた。
「腑抜けに、彩虹を任せるわけにはいかんだろう?」
鋭さを孕んだ空気が、互いの間に張り詰める。
僅かな沈黙の後、“あいつ”は上着を脱ぎ捨て、腰を落とすように構えた。
「……そうだな」
数日が過ぎ、俺は再び墓地を訪れていた。
相変わらず一帯は静かで、響く蝉の声も心なしか遠い。
“彼”の眠る墓もまた、先日とまったく変わらぬ佇まいを見せていた。
違うのは、此処にいるのが俺一人ではない、ということ。
今、俺の傍らには、彩虹がいる。
翳の瞳から零れる、一筋の涙。
その頬に思わず手を伸ばしかけた時、俺の左肩が、淡く銀色の光を放った。
同時に、翳の頬を伝った涙は銀の粒となり。
やがてそれは、小さな羽根を持った白燐蟲へと変化した。
そのまま吸い寄せられるように、蟲が俺のもとにやって来る。
淡い光が収束し、白燐蟲がもう一匹、俺の肩口から姿を現した。
銀色に輝く蟲たちが、つがいの如く寄り添い、窓の外に向けて飛んでゆく。
俺と翳は、黙ったまま、その光景を眺めていた。
「……すまない」
ようやくそう告げた時、俺の心は意外なほど落ち着いていた。
ここに来て、やっと覚悟が決まったということなのだろう。
翳が、胸に抱えていた想いを全て、俺に明かしてくれたのなら。
俺もまた、己の心に正直であらねばならない。
それを余すことなく伝えて、初めて、答えを出すことができる。
何かに安堵するように、小さく息を吐いて微笑する翳を見て。
俺は、静かに言葉を続けていった。
上品な紺のワンピースに身を包み、白い日傘を携えて。
俺の目の前に立つ姿は、紛れもなく、翳以外の何者でもない。
しかし、俺はまだ、その光景を現実のものと信じられずにいた。
「どうして……ここに?」
「お話が……」
呆然とした問いに、翳の声が遠慮がちに応える。
ようやく我に返った俺は、まず翳を家に招くことにした。
炎天下に、外で立ち話も何だし、考えようによっては好都合とも言える。
いずれ決着をつけるなら、その機会が早く訪れるに越したことはない。