12/16朝出発、クリスマスイベシナの仮プレイング。
遅くなりました……orz
16日朝出発、クリスマスイベシナの仮プレイング。
ブログを持っていない鋭司の仮プレも代理で掲載。
【※七瀬・残菊氏のSSとリンクしたエピソードです】
→ 【暗闇ジャイアニズム・11月1日(calling-16)前】
→ 【鬼の話・まとめ記事】
久々に、ゆっくりと本を読んでいる。
ここ最近は何かと慌しくて、こういう機会は持てずじまいだった。
だから、だろうか。
暇潰しのつもりが、今はすっかり活字を追うことに夢中だ。
部屋の静けさが、過ぎる時間を忘れさせる。
ふと視線を落とすと、左腕の腕時計は11時50分を指していた。
そろそろ、帰ってくる頃合だろうか。
そう思い浮かべた矢先、気配と足音。
一昔前の黒電話に似たドアチャイムは、少し遠い音として耳に届いた。
読んでいた短編集を、そっと本棚へ戻す。
五感の殆どを閉ざされた男の物語。
目に見えぬ住人とその飼い猫と、2人と1匹の奇妙な同居生活を送る学生の物語。
それらの余韻が、この作家特有の後味を伴って心に残る。
玄関に向かうため、室内の三方を埋め尽くす本棚の前を通り過ぎる。
日迎の専門であろう『水』に関する蔵書のコーナーの中、ひときわ蒼い背表紙が、一瞬目を引いた。
今は、友人を出迎えるのが先だ。
ドアを開いて、久々に会う友人の顔を眺める。
一瞬のうちに色々な想いがよぎったが、しかしそれは言葉にならなかった。
代わりに出てきたのは、至っていつも通りの声。いつも通りの笑顔。
「――おかえり。特に変わった事はなかったよ」
右目を眼帯とガーゼで覆い、至る所に傷を負った友人――七瀬・残菊は。
俺を見て、ただいま、と笑った。
【※注意!】
掛葉木・いちる君の連作SS『-真夏夜に舞えGhost Dance!!-』内の
とある1エピソードとリンクした話となっておりますが、
元々が、あの事件に関わったメンバーの誰を当て嵌めても良いように
書かれているエピソードであるため、これが正史とは限りません。
『出会ったのが寅靖だったら』という『IF』としてお読み頂けると幸いです。
→【SWALLOW EDGE・連作SS目次】
→【SWALLOW EDGE・密やかな来訪者 -真夏夜に舞えGhost Dance!!-】
それは、戦争があと数日後に迫ったある日の事だ。
ここ最近、偽身符に任せられない私事が重なったこともあり、今回はポジションの相談にも思うように顔を出せずにいたが、この日は学園に来ていた。
戦場として予想されるエリアや、敵の戦力などを書き記した資料にざっと目を通した後、また激しい戦いになるだろうなと予感する。
せめて自分の親しい人々だけでも、欠けることの無いようにと願うのは、身勝手に過ぎるだろうか。
資料を鞄に押し込んだ後、俺はゆっくりと立ち上がった。
個人的な準備は大体は終えていたし、一度家に戻って食事の準備でもしたら、今度はポジションに顔を出そうか……などと考え、冷蔵庫の中身と献立を交互に思い浮かべつつ、広大な学園の敷地内を歩いていく。
ふと、視界の端に一匹の猫が映ったのはそんな時だった。
白地に虎縞の、まるで中国の四神『白虎』がそのまま小さくなったような、一風変わった猫だ。
当然、見るのはこれが初めてなはずなのだが。その姿に、何故か既視感を覚えて、しばし考え込む。
確か、あれは夏の……
――猫の姿が白に焦げ茶の虎縞だからまるでミニ白虎縫いぐるみ。
「あ」
ようやく、俺はその白い虎猫が誰なのかを思い出していた。