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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2024/05/08 (Wed)

〔承前〕

「――宣昭」

校門の前に立ち、僕を呼ぶ寅ちゃんの声は、低く静かで。
それだけに、重く胸に響く。

「時間は取らせん。怪我人相手に、長話もあるまい」

そう言って、寅ちゃんは僕の顔を見た。

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耳に届くのは、くぐもって響く戦いの音。
目の前には、一面を埋め尽くす蜘蛛の群れ。

近くにいた仲間たちは、次々に取り囲まれて。
なす術もなく、一人ずつ倒されていく。

空ちゃんは、どこにいるんだろう?
戦いの中ではぐれて、今は姿さえ見えない。

隣にいた彩蟲ちゃんが、辰巳さん、と短く呼ぶ声が聞こえて。
同時に、太腿のあたりに熱い痛みが走って、僕は大きく膝をついた。

何度か立ち上がろうとしたはずだけど、その後のことはよく覚えていない。
暗くなる意識の中で、僕は空ちゃんの名前を必死になって叫んだ。

遠い視線の先に――血の海に沈む、空ちゃんを映して。

明日は、いよいよ“土蜘蛛”との戦いの日。
みんな準備も済ませて、それぞれの役目に向けて張り切ってる。
戦場になる町はずっと遠いから、もう今夜から出発しないといけないんだよね。

早起きしてお弁当を作ってみたよ。
といっても、僕は普段から自分で作ってるんだけどね。料理とか、すごく好きだし。
でも、この日はお弁当箱が二つ。僕のと、もう一つは空ちゃんの。

空ちゃんは、いつも、お昼は本を読みながら簡単に済ませちゃう。
食べているのは、栄養食品とか、そういうのばかりで。
黙々とそれを片付けながら、ずっと本を手放さない。

僕は、そんな空ちゃんと一緒にお弁当が食べたかったんだ。

3月に入ってからも、暇ツブ結社は相変わらず賑やかで楽しい。
雛祭りには、みんなで仮装して、平安貴族ごっこで遊んだりもした。

僕は思い切って雛壇を背負って行ったりもしたんだけど……。
最後の写真撮影でみんなに乗られて、あっさり潰れちゃった。
あは、やっぱり慣れないことはするものじゃないね。
空ちゃんには「根性無し」って怒られるし、散々だったよ。


それでね、こないだの月曜からは“学園黙示録”が始まったんだ。
学校のプールの地下で、お昼休みに能力者の生徒同士がチームで戦うっていう大会なんだけどね。
暇ツブでも、その大会に何チームかで出ることになって。

寅ちゃんはチームのリーダーとして、空ちゃんたちと一緒に出場することになったんだ。

空ちゃんと寅ちゃんに、ゴーストタウンに連れて行ってもらったよ。
僕はまだまだ足手まといだったけど、二人のおかげで助かっちゃった。

でも……。

空ちゃんと喧嘩しちゃった。
――というより、僕が一方的に怒らせちゃったんだけど……。

ちょっと長くなるけど、聞いてくれる?

まず、土蜘蛛の屋敷からみんなが無事に帰ってくることができて良かった。
空ちゃんとは、別々の班だったからちょっと心配だったけど、やっぱり空ちゃんはすごいね。
僕は話に聞いただけだけど、いっぱい活躍してたみたい。
僕も、もう少しみんなの役に立てるようになれればいいんだけどな。

先の戦いで死んでしまった女の子は戻らないし、土蜘蛛との戦いもまだ終わらない。
でも、ひとまず。今回出発した全員が戻って来れたことを、喜ぼうと思う。
もう、悲しい顔の人は、増えてほしくないから。

――ごめん、ちょっと暗い話になっちゃったね。

ええと、今日はそれだけを言いに来たんじゃなくって……。
実は、驚くような嬉しいことがあったんだよ。

今日の朝、僕たちは土蜘蛛の屋敷に行く。
暇ツブ結社のチームも、それぞれ限られた時間の中で話し合って、きちんと作戦を組んだ。

僕は施設探索班の『暇潰B』、空ちゃんは第一次攻撃班の『暇潰1』。
別れ別れになっちゃって、それはそれで心配だけれど、ここはみんなを信じる。
全員で、一人も欠けることなく帰って来ようって、誓ったもんね。

……。

ごめん、今日はさすがの僕も笑えそうにないよ。

ものすごく、ショックなことがあったんだ。

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