……。
ごめん、今日はさすがの僕も笑えそうにないよ。
ものすごく、ショックなことがあったんだ。
僕は詳しく知らなかったけど、最近、蜘蛛型の妖獣に関する大掛かりな事件が起こってて。
依頼を受けた学園の“能力者”たちが何人か、彼らの本拠地と思われる建物を見つけたんだけど……。
情報と引き換えに払った犠牲は、あまりにも大きかったんだ。
“能力者”のうち一人は、学園に戻ってくることができなかった。
まだ、小学生の女の子だったって聞いた。
人の生き死にに、長いも短いもないのかもしれないけれど……。
それでも、これは悲しすぎる。
僕が“能力者”になったのは、最近のことだ。
それまでは、この銀誓館学園に通いながら、能力者のことも、妖獣のことも、知らなかった。
“世界結界”の力で、能力者じゃない人には、わからないようになってるんだって。
僕が僕の“蟲”に出会って、能力者になった後も、僕はいまいち事の重大さがわからないでいた。
妖獣やゴーストたちと戦うんだよって言われても、どうもピンとこなかったんだ。
でも、今は違う。
これが、戦いってことなんだ。
戦えば死ぬかもしれない。でも、戦わなければもっと多くの人が死ぬ。
そうさせないために、僕たち“能力者”がいる。
――正直、とても怖い。戦うのも、死ぬのも怖い。
それでも、もう誰かが悲しい思いをするのは嫌だから。
傷つく人や、死んでしまう人がいないように、頑張らなくちゃいけないと思う。
その女の子たちが突き止めた、土蜘蛛の屋敷への襲撃。
それは、学園を上げた大掛かりな作戦になる。
暇ツブ結社のみんなも、それぞれチームを組んでそれに向かう。
僕も、勿論参加することにした。
まだ、自分に何ができるかわからないけど。足を引っ張るかもしれないけど。
黙って何もしないでいるなんて、できないから。