4月2日朝出発の依頼・仮プレイング。
最終更新:4/2 1:15 心情等を加え600文字に。
2010年のエイプリルフールの設定を元にした連作SSです。
お三方と絡ませて頂いた結果、物語がここまで広がりました。
※シルバーレインと世界設定が共通している部分がありますが、
あくまでもエイプリルフールの仮想世界であり、
まったく別の物語であることをご了承下さいませ。
◆目次
【1】【Prelude ―序章】
【2】【The Wertiger's Dream ―求める男】
【3】【Down the Despair ―闇に堕ちる】
【4】【Twinkle Twinkle Starry River ―星海の畔】
【5】【The Landing ―戻れない道】
【6】【Who killed her? ―誰が彼女を殺したか?】
【7】【The Vanishing ―全てを無に】
【8】【Fly to the moon ―最期の願い】
【9】【Waking ―目覚め】
【10】【Postlude ―帰還】
◆リンク
下記の方々には、関連記事へのリンクと当SS内の記載について許可を頂いております。
(万一、アップした内容に不備がございましたらご指摘下さいませ)
“何もない1日”を盛り上げて下さった方々に改めて感謝を!
【無二の相棒、クロックラビット・ノワール】(ユエ・レイン嬢)
→ 《黒白の翼》時を駆ける兎の物語 【1】 【2】 【3】
【最後のターゲット、財界を牛耳る若手実業家】(江西・唯氏)
→ 《儚くも美しき夢》四月一日――とある若手実業家の話。
【追い続けた伝説、星海の畔の渡し守】(掛葉木・いちる君)
→ 《SWALLOW EDGE》◆儚天に寄坐す月影の夢
◆裏話
The Time traveler in Dreamland【微睡む夜明け】
※背後語り全開なので、この記事の閲覧は自己責任にてお願い申し上げます。
◆執筆時のお供
The Time traveler in Dreamland【夢に響く楽の音】
※執筆時のBGMにしていた曲を動画サイトから引っ張って集めたもの。
閲覧は自己責任にて(略)
連作SS『The Time traveler in Dreamland』の裏話です。
背後視点で、かつ本編のネタバレを含みます。
背後語りが苦手な方はスルー推奨。
そうでない方も、閲覧は自己責任にて……。
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
詳細はこちら。
〔承前〕
【Postlude ―帰還】
「お父さん、まだ読んでるの?」
いつの間にか、立ち読みに夢中になっていたらしい。
息子の声で我に返った俺は、読んでいた本をそっと閉じた。
「――ああ、ごめん。そろそろ行こうか」
「うん、お母さん待ってるよ」
本を棚に戻し、息子と手を繋いで歩き出す。
「あれ、本買わないの?」
「……うん、いいんだ」
「変なの。『不思議の国のアリス』って子供の本でしょ」
小学生の息子は、年齢の割に口が達者だ。
時折、こんな大人ぶったような台詞をさらりと言う。
「何だか懐かしくてね、つい」
そうは言いつつも、子供の頃に夢中になった本というわけではなかった。
タイトルは知っていても、物語の内容までは詳しく覚えていない。
俺の興味を惹いたのは、あの本の表紙に描かれていたイラストだ。
懐中時計を手に、少女を不思議の国へ導く兎――。
それだけが、妙に心に引っかかったのだった。
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
詳細はこちら。
〔承前〕
【Waking ―目覚め】
目が覚めてみると、いつも通りの起床時間だった。
寝起きの良い俺にしては珍しく、随分と長くまどろんでいた感覚がある。
その間ずっと、目覚まし時計の今どき古風なベルを聞いていた気がするのだが……実際は、数分も経過していなかったらしい。
眠っている間に、夢を見ていたようだ。
長い、長い夢――。
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
詳細はこちら。
〔承前〕
【Fly to the moon ―最期の願い】
俺の傍に在ることを、お前が望むのなら。
俺の向かうその場所に、必ずお前を連れて行く。
お前が、孤独を厭うのなら。
俺はお前の傍に在って、手を繋いでいよう。
俺が見るのと同じ景色を、お前にも見せよう。
いつか、この命が尽きる日まで。
――それは、遠い日に交わした誓い。
初めて出会った時、兎耳の少女はひどく寂しそうで。
放っておいたら、寂しさのあまり消えてしまう気がした。
――おいで。
差し伸べた手を、少女の手が遠慮がちに取る。
心細さに震える小さな手を、そっと、包むように握った。
――大丈夫だよ。俺で良ければ、ずっと傍に居るから。
あれは、とても月の綺麗な夜で。
俺はその少女に“ユエ”と名付けた。
遠い、遠い日のお話――。
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
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〔承前〕
【The Vanishing ―全てを無に】
蔓の尖端が、スーツを容易く突き破って肉に食い込む。
電光剣で大半を切り払ったが、それでも3本ほど避けきれなかった。
背後にユエの動く気配を察して、振り向かずに叫ぶ。
「――来るなッ!!」
蔓を打ち込まれた場所から、痺れるような感覚があった。
動きが鈍ったところに別の蔓が巻きつき、全身を締め上げる。
「そこから動くんじゃない! 早く時を巻き戻せっ!」
俺の背後で、ユエの詠唱時計が唸り、時を刻む。
直後、蔓はびくりと震えて元の位置へと戻っていった。
“攻撃を受ける前の瞬間”へと、ユエが時を導いたのだ。
限定的に時間を巻き戻す――これが“クロックラビット・ノワール”の能力だった。
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
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〔承前〕
【Who killed her? ―誰が彼女を殺したか?】
いつか、星海の畔に辿り着けたとしたら。
過去のどの瞬間に赴き、何をどのように改変するかは、大分前から決めていた。
俺と彼女の足跡を辿り、彼女の死に関わった要素をくまなく調べ。
悩みに悩み抜いて、自分のなすべき事を決めた。
自分勝手な選択だと、我ながら思う。
こんな事で、果たして彼女は幸せな生を取り戻せるのか。
俺が殺めた数多の命と、見捨てた我が子に対して、本当に責任を果たせるのか。
そして、ユエは――。
一番肝心なそのことを、俺はユエに言えなかった。
全てを知れば、この相棒は決して俺を舟に乗せなかっただろうから。
俺が選んだのは、ユエにとっても残酷な道であるはずだから。
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
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〔承前〕
【The Landing ―戻れない道】
舟が動き出すと、海に見えた水面は、むしろ河に近いように思えた。
星の輝きが生み出す流れの中を、銀の舟が音も無く進む。
ふと遠くを見れば、俺が知るどの国にも似ていない、しかし輝くばかりに美しい都市が、蜃気楼のように浮かんでは消えていった。
舟の舳先には、瑠璃色の硝子で作られたランプ。
銀にも白にも見える渡し守の面が、うっすらと透けるように青い。
その仮面の奥からは、人の気配というものが全く感じられなかった。
「……荒唐無稽の伝説では、無かったのだな」
思わず漏れた呟きは、銀の櫂を操る渡し守の耳にも届いたようだ。
其れは俺の存在が、か? ――と問い返す。
「……此の通り、現実と夢幻の間(あわい)を永劫揺蕩う者さ。森羅万象の楔と軛とが朽ち尽きぬ限り在り続けさせられる、只人の業の見届け役とも言う」
無機質な声が紡ぐ言葉は、俺の胸を微かに突いた。
自嘲が、唇を僅かに歪ませる。
「……そう、か。そう言われてしまうと些か耳が痛いな」
伏せかけた視線を戻し、俺は仮面の渡し守を真っ直ぐに見た。
「俺のように戻らぬ過去に固執し続ける者がいる限り、主殿は在らねばならぬのだろう?」
※エイプリルフールの仮想設定における連作SSです。
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〔承前〕
【Twinkle Twinkle Starry River ―星海の畔】
最後の仕事は、一向にはかどらなかった。
ターゲットのガードが固すぎて、必要な情報が揃わないのだ。
特に、俺の能力を生かすには自らがターゲットに接近する必要がある。
行動範囲が掴めない事には、文字通り手も足も出ない。
さらに悪い事に、ターゲットも自らの危険を感じていたようで、腕利きのボディーガードを雇ったらしいという情報まである。
ボディーガードが能力者である可能性も充分に考えられ、そうなると仕事はますます簡単にはいかなくなるだろう。
幸い、依頼人も容易い仕事とは考えていないらしく、ある程度の時間のロスは考慮に入れてあるはずではあったが……。
どうしたものか、と書斎の椅子に背を預けて考え込む。
傍らで絨毯の上に座っていたユエが、俺を気遣わしげに眺めていた。
「こういう時は、気分転換をするに限るな」
軽い口調で声をかけると、ユエは一つ頷いてにこりと笑った。