連作SS『The Time traveler in Dreamland』の裏話です。
背後視点で、かつ本編のネタバレを含みます。
背後語りが苦手な方はスルー推奨。
そうでない方も、閲覧は自己責任にて……。
【設定】
当日まで何も考えていませんでした(笑)
次々とステータス画面が4月馬鹿仕様になっていくのを眺めつつ、周囲に絡められる形で……と考えた結果が『恋人を失った殺し屋』でした。
元ネタは一条ゆかりの漫画『こいきな奴ら』の登場人物であるパイ・エトワール。
勿論、設定はあちこちアレンジを加えてはいます。
(そもそも『サングラスを取ったら美形』なキャラでしたし……)
ファンの方すみません。
【リンク】
4月馬鹿開始直後の絡みは以下の通り。
『謎の若手実業家』=唯氏
→ 最後の仕事(殺し)のターゲット
『星海の渡し守』=いちる君
→ 恋人の死を改変するため、追い続ける伝説の存在
その後、ユエちゃんが絡みに来てくれました。
『時計兎』=ユエちゃん
→ 使役ゴーストの相棒
結果、殺し屋が能力者であることが判明。
おぼろげに全体の世界観と展開が決まったのもこの時でしょう。
【あらすじ】
殺し屋視点のSSが最後に書かれた(遅筆の所為)ため、お三方のSSをベースにプロットを構築。
(何という他力本願……)
骨組みとしては、
・最後の仕事を受ける(ターゲットは『若手実業家』)
・伝説の有力な情報を得て、仕事を放り出して星海の畔に向かう
・過去に赴き、恋人の死の原因を改変した結果、命を失う
・主との絆を代償に、『時計兎』が時間を巻き戻す
・記憶を失い、新しい人生をやり直す
という形になるのですが……。
後半2つは『時計兎』の参入まで予定されていなかった部分でした。
ユエちゃんのおかげで『殺し屋』は死亡エンドを免れたわけです。
最近、この手のパラレル的なSSを書くと、寅靖ポジションの役柄は殆どの場合で死亡してますし、そのまま終わらなかったのは幸運でした。
本当にありがとうございます。
【展開】
全10話という長さに膨れ上がったのは流石に予定外でした。
要らん説明を付け加えて文章量を増やすのは私の悪い癖です……。
最初は9話だったのですが、土壇場で1話増えたのは過去改変の際の『見えざる狂気』の描写の所為。
上記の【あらすじ】に添って書き進めていくうちに、どうしても『殺し屋』の心情的にかなりの矛盾が出てきてしまい。
どうにも『殺し屋』がモデルの寅靖の影響なのか、妙に理屈をこねたがり、結果として自滅の道をまっしぐら、となったのですが。
ここで疑問。
『恋人の死を改変することを願う』しかも『相棒を大切にしている』男が、誰の得にもならない自分の死を選ぶでしょうか?
まともな感覚なら、まず選ばないはずです。
『殺し屋』が死ねば恋人は悲しみますし、相棒の『時計兎』は消えてしまうわけですから。
では何故? と考えた結果、目をつけたのは以下の要素。
・『殺し屋』が、仕事で奪った命に対して罪悪感に苛まれていた
・物語の展開上、『殺し屋』はどう考えても30歳以上
・中盤まで、イグニッションカードの描写が一切ない
そこで、『見えざる狂気』の出番となりました(笑)
殺人に対する罪悪感が狂気の芽となり、能力を使い続ける事で加速して。
自分でも知らないうちに、すっかり本末転倒な思考に陥ったと。
……安直ですね、うん。
何にしても、一つはっきりしていることがあるとしたら。
悲劇を加速させた元凶は、間違いなく『殺し屋』だということです。
彼が素直に幸福を望んでいたら、誰も不幸にならなかったので……。
余談ですが。
『殺し屋』の『見えざる狂気』は京極夏彦の『嗤う伊右衛門』を何となくイメージしていたりしました。
ありえない事ですが、仮に寅靖が『見えざる狂気』に陥るとしたら、伊右衛門のような形ではないかな……と考えていたもので。
ただ、筆力不足でイマイチ上手く表現出来ませんでした。
【タイトル】
元ネタは『不思議の国のアリス』。
ユエちゃんの『時計兎』からイメージを膨らませた結果。
(どこまで他力本願……)
サブタイトルに関しては、他に『鏡の国のアリス』、『マザーグース』、ルイス・キャロルの『スナーク狩り』などから引っ張りました。
あちこちアレンジしていますが、英語力がかなり怪しいので間違っているかもしれません。
●タイトル
The Time traveler in Dreamland
→“Alice in Wonderland”(不思議の国のアリス)
※本来はこのタイトル自体、短縮形ですが……。
●サブタイトル
【1】【Prelude】
→ ※『鏡の国のアリス』の序詞
【2】【The wertiger's Dream】
→“The Barrister's Dream”(バリスターの夢)
※『スナーク狩り』第6章タイトル
【3】【Down the Despair】
→“Down the Rabbit-Hole” (ウサギの穴に落ちて)
※『不思議の国のアリス』第1章タイトル
【4】【Twinkle Twinkle Starry River】
→“Twinkle Twinkle Littele Star”(きらきら星)
※マザーグース『Twinkle Twinkle Littele Star』
【5】【The Landing】
→ ※『スナーク狩り』第1章タイトル(上陸)
【6】【Who killed her?】
→“Who killed Cock Robin?”(誰がこまどり殺したの?)
※マザーグース『Who killed Cock Robin?』
【7】【The Vanishing】
→ ※『スナーク狩り』第8章タイトル(消失)
【8】【Fly to the moon】
→“Flew up to the moon.”(月まで飛んでいったとさ)
※マザーグース『Old Mother Goose』の詩
【9】【Waking】
→ ※『鏡の国のアリス』第11章タイトル(目が覚めてみると)
【10】【Postlude】
→ ※“Prelude”の対義語?として
【執筆時BGM】
今回は(今回も?)ZABADAK祭りでした。
既存の曲から妄想を爆発させる癖は何とかならないものか……。
※動画サイトで聴けるものはこちらにこっそりと。
※この色で表記してある部分は歌詞からの引用。
●別れの夜と新しい朝
→主に【8】【9】【10】執筆時のヘビーローテ。
♪『月のない空』
――僕を信じてるその瞳には 夢見た場所が見えるだろうか
♪『永遠の森』
――さあ歌えよ 声のかぎりに 夢の森に帰るまで
♪『Tears』
――空を見上げた瞳からこぼれる 君の名前を知りたい
●悲しみの追憶
→主に【2】【3】執筆時の(以下略)
♪『点灯夫』
――夕焼けに背を向けて 夜の先へ急ぐ
♪『城』
――静かな絶望に ただ ただ 耐えるの
♪『蒼の部屋』
――途切れた思い出 いつまでも消えなくて
※iTunesにて試聴可能
♪『雨の行方』
――いつかもう忘れてた涙の色 ただ あなたがいない
※試聴不可(アルバム『空ノ色』収録)
●最後の戦い
→主に【6】【7】執筆時。
♪『POLAND』(インストゥルメンタル)
♪『TRUTH』
――懐かしい微笑みが消えてゆく 砂がこぼれるように
※英語版もiTunesにて試聴可能
●星海の畔にて
→主に【4】【5】執筆時。
♪『水のルネス』
――消える蜃気楼のように 続く道を追いかけ
※iTunesにて試聴可能
♪『Psi-trailing』
――冷たい風防ぐ服もないまま 鐘の音を待とう
♪『鏡の森』(インストゥルメンタル)
●一夜の長い夢
→主に【1】執筆時。
♪『ガラスの森』
――時間より遠くから 哀しみだけ見つめてる
♪『Dreaming』
――思うだけでいい ここは夢の中
※試聴不可(アルバム『空ノ色』収録)