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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2024/11/23 (Sat)

【※掛葉木・いちる君のSSとリンクしたエピソードです】

【SWALLOW EDGE・――curiosità. -pendolarismo- 】

雲一つない空から、真夏の太陽が容赦なく地上へ照りつけてくる。
7月下旬の昼下がり、気温は当然のように30度を越えている。大学の試験を終えて鎌倉まで戻り、それからここに至るまで歩き通しだったためか、汗とともに疲労が滲み出る。

坂を上りきると、高台から青い海が見えた。
ハンカチで額の汗を拭いながら、目的の店を探す。
幸いにも、さほど苦労することなく見つけることが出来た。
入口に飴色の揺り椅子が置かれた、季節により場所を変える菓房。
それこそが、年少の友人が営む結社“-Vigilia di Natale-”。

店の扉を開けると、カウンターの奥に尋ね人の姿があった。
「――学園にもバイト先にも自宅にも居ないとなれば、やはり此処だったか」
背中越しに声をかけると、来客に気付いた彼もまた振り返り。

「……渕埼先輩?」
彼――掛葉木・いちるは、しかし俺の顔を見ると眉根を寄せ、俺の位置に一番近いテーブルをこつこつと指で叩いた。

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7/24朝出発の依頼の仮プレイング。
現状で600文字ジャスト。

最終更新:7/23 20:25

4/27朝出発の依頼仮プレ。
現状で600文字、問題や抜けがあれば後に調整予定。

最終更新:4/26 20:35

―――――――――――――――――――――――――――
連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては温泉旅行の後、3月初旬を想定しております。
(『フェンリル撃破作戦』と『対人狼情報封鎖作戦』の間)

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
ご覧になる際はその旨をご了承下さいませ。

なお、作中にご登場頂いた他PL様のPC、NPCについては
PL様ご本人より事前に許可を頂いております。
この場をお借り致しまして感謝を。ありがとうございます。
―――――――――――――――――――――――――――

◆目次
【-予告編-】

【1】【Prologue ―再会】
【2】【Borderline ―亀裂】
【3】【Spellbinding ―囁く声】
【4】【Strong-will ―決意】
【5】【Calling ―繋がる糸】
【6】【I wish... ―誓い】
【7】【Fighters High ―武に生きる者】
【8】【Truth ―決着】
【9】【Home ―帰還】
【10】【Epilogue ―呪縛の終焉】



◆リンク
【fiat justitia, ruat coelum -The last curse in my blood-】
いちる君(&典杏さん)PL様より頂いたコラボSS。
本編における【5】の直前にあたるエピソードです(リンク許可済)。
ありがとうございます!

―――――――――――――――――――――――――――
連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては3月初旬を想定。

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
ご覧になる際はその旨をご了承下さいませ。

なお、作中にご登場頂いた他PL様のPC、NPCについては
PL様ご本人より事前に許可を頂いております。
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〔承前〕

【Epilogue ―呪縛の終焉】

ドアチャイムを押すと、扉越しの微かな足音に、鍵の開く音が続いた。

「――どちらさま?」

チェーンのかかった扉の隙間から、小柄な女性の姿が覗く。
初対面の相手を警戒させぬよう、俺は丁寧に一礼して名乗った。

「突然にお伺いして、申し訳ございません。渕埼寅靖と申します」

この日に俺が訪ねたのは、渡瀬が最期に暮らしたアパートの一室。
そして、眼前の女性こそ――渡瀬と生活をともにしていた、彼の内縁の妻だった。

「渡瀬さんには、生前お世話になったもので……よろしければ、お参りをさせていただけませんか?」

俺の言葉に、女性は扉の隙間からこちらを見上げ、まじまじと顔を眺めた。
彼女は痩せてはいるが、今にも倒れそうなほど病的な様子ではない。
渡瀬の仮初の命を繋ぐため、この女性が自らの血を提供していたことは間違いないだろうが、それよりは葬儀などの疲れが出ているように見える。

しばしの沈黙の後、女性は表情を少しだけ和らげ、こう言った。

「散らかっておりますけど、どうかお上がりください。渡瀬も、きっと喜ぶと思いますから」

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連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては3月初旬を想定。

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
ご覧になる際はその旨をご了承下さいませ。

なお、作中にご登場頂いた他PL様のPC、NPCについては
PL様ご本人より事前に許可を頂いております。
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〔承前〕

【Home ―帰還】

「二人とも有難う。朝早くに時間を取らせてすまなかったな」

物陰に待機していた円やいちると合流し、偽装のため軽く現場を整えた後。
空き地を離れ、公衆電話から匿名の110番を終え、今日介に連絡を入れてから――俺は、二人に向けてようやく礼を言うことが出来た。

遺体が残っている以上、俺達がいつまでも現場近くをうろついているわけにはいかなかったし、あの閑散とした空き地で、渡瀬がいつまでも発見されずに放置されるのも忍びない。
よって、事が済んだ後はかなり慌しく動かねばならず、落ち着いて言葉を交わす暇もなかったのだ。

「その……心配も、かけてしまったと思う」

先の戦いを振り返り、ばつの悪さを抱えながら言葉を続ける。
あらゆる状況を考慮した上で、己に出来る最善を尽くしたことに偽りはないが……それでも、見守る側にとっては充分すぎるほど無茶な戦いぶりと映っただろうから。

沈黙を破ったのは、眉間に皺を寄せたいちるの溜め息だった。
 「……先輩だけは、命の危険が絡んでも“俺と同じ事”には走らないと思ってましたけど」

意味深な言葉とともに、携帯電話でメールを打ち始めたいちるを眺めながら、それは、自分も同様の無茶をやりましたと宣言したも同然じゃなかろうか、と思うものの、この状況でそう反論できるはずもない。

その間に手早くメールを打ち終えると、いちるは「ま、いいか」と誰に言うでもなく呟いた。
この場に停めていた自転車を引っ張り出しながら、今度は俺と円の方を向いて言う。

「今日もバイトあるんで、俺そろそろ帰ります。典杏への報告は、すみませんがお二人で行ってください」
「……あ、ああ。忙しいところすまなかった」

了解の旨を告げると、いちるは自分のポケットから鍵を取り出し、それを俺に手渡した。
クラブ棟から学園近くの貸店舗へ移動してますけど、鍵のタグに番地書いてるから迷いはしないはずです、と言った後、念を押すように続ける。

「この時間じゃ、まだ店も開いてないでしょうから。報告で学園に行くわけですし、ついでに菓房で一休みでも」
「有難う。礼はまた、改めて」
「いえ、こないだの温泉宿手配のお返しもありますし。完全セルフになっちゃいますけど、紅茶や珈琲の類は飲み放題ってことで」

見てすぐ分かる所に物は置いてありますから、と言い残して自転車で走り去るいちるを見送った後、振り返って円に言う。
「――行こうか」
相変わらずばつの悪さを隠しきれない俺を見て、円は微かに笑った。

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連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては3月初旬を想定。

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
ご覧になる際はその旨をご了承下さいませ。

なお、作中にご登場頂いた他PL様のPC、NPCについては
PL様ご本人より事前に許可を頂いております。
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〔承前〕

【Truth ―決着】

二振りの黒い短刀が、鈍い音を立てて地面に突き刺さる。
俺は正面から渡瀬を見据えたまま、静かに無手の構えを取った。

一点に集中する精神が傷の痛みを遠ざけ、感覚を鋭く研ぎ澄ましていく。
猛り狂うばかりだった渡瀬に変化が訪れたのは、その時だった。

「“情智”……」

獣のようだった渡瀬の瞳に、武術家としての誇りが宿る。
膨れ上がった筋肉と、尖った爪はなりを潜め――漆黒の虎紋のみを纏った渡瀬は、俺と同じく無手で構えた。

真っ直ぐに向かい合う、紅と黒の虎紋。
互いのみに伝わる、声なき礼。

――“お願いします”

それが、真の幕開けだった。

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連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては3月初旬を想定。

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
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〔承前〕

【Fighters High ―武に生きる者】

約束の朝。
日の出を迎える前に、俺は家を出た。

玄関で俺を見送ったのは、飼い猫の桜と傘太(さんた)だ。
朝晩はまだ冷えるこの時期、普段は外に出たがらない猫達だが――人より優れた感覚で、並みならぬ気配を察したのだろうか。

丸い瞳で、じっと俺を見上げる2匹を撫でた後、俺は門を潜って薄暗い空の下を歩き始めた。

諸々の打ち合わせは、昨夜のうちに済ませてある。
円といちるの2人は俺とは別に空き地へ向かい、渡瀬の目につかぬよう、近くで身を潜めてもらう手筈になっていた。

懐に忍ばせた携帯電話が、マナーモードの着信で2人の配置が完了したという合図を告げる。
ゴーストの電波妨害を警戒し、かなり早めに行動を開始したのだが――渡瀬はまだ、空き地の近くには来ていないようだ。

ちなみに、今日介はこの戦いに同行していない。
当然の如く、自分も行くとゴネたのだが……待機組にはアビリティの射程である20メートル圏内で隠れてもらうことになるため、頭数が増えれば気付かれる可能性は大きくなる。
そうなれば、なし崩し的に多対一の戦いとなり、半端な人数ではかえって不利な状況を招くことになりかねない。

それでも今日介は納得しなかったが、渡瀬と暮らしている女性の存在を伝え、万一に備えて彼女を守って欲しいと伝えたところ、ようやく了承した。

数日中に女性が害される心配は少ないと聞いてはいたが、この戦いの結果で、それがどう転ぶかわからない。
最悪の場合――ここで、渡瀬に残された理性を完全に砕いてしまうかもしれないのだから。

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連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては3月初旬を想定。

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
ご覧になる際はその旨をご了承下さいませ。

なお、作中にご登場頂いた他PL様のPC、NPCについては
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〔承前〕

【I wish... ―誓い】

「突然に押しかけてしまって、すまないな」

通された座敷で、勧められるまま座布団に腰を下ろした後。
盆を手にする円に向けて、俺は開口一番、唐突な訪問に対する非礼を詫びた。
昨夜のメールで来意は告げたものの、何かと忙しいであろうこの時期に、個人的な事情で時間を取らせるのは、やはり心苦しいものがある。

「大丈夫。……話があるんだろ?」

卓に茶菓子を置き、俺に茶を勧めた後、向かい側に座った円が言う。
ああ、と短く頷いてから、俺は早々に話を切り出した。

「一つ、頼みたいことがあるんだ――」

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連作のSS(サイドストーリー)、全10話。
時間軸としては3月初旬を想定。

重めの内容で、若干のアンオフィ成分を含む可能性があるため
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なお、作中にご登場頂いた他PL様のPC、NPCについては
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―――――――――――――――――――――――――――


〔承前〕

【Calling ―繋がる糸】

灯りを落とした道場で、俺は一人無言で座していた。
考え事をするには、道場の空気は都合が良い。
幼少の頃からずっと立ち続けていた、板の床の冷えた感触。
学校の制服よりも、長く親しんできた道着の肌触り。
それらが俺の心を落ち着かせ、感覚を研ぎ澄ましていく。

渡瀬との戦いは、もう避けられない。
15年以上もの長い間、力を蓄えてきたリビングデッドであり。
かつて渕埼流の師範代として、卓越した技量を誇った武術家である彼。

問題は、どのようにして勝つか。
力も技も、経験も。全てにおいて、渡瀬は俺を大きく上回る。
まともに一対一でぶつかれば、勝ち目は殆ど無い。
それが『リビングデッド』と『能力者』の戦いなら。

だが、『武術家』同士の戦いに持ち込むのであれば――あるいは。

彼を執念から解放するためには、もとより方法は一つしかないのだ。
この戦いは、俺が生きてきた20年余りの全てを賭けたものになるだろう。

負けるわけにはいかない。
そして、ここで命を落とすわけにもいかない。

決意を胸に、俺は覚悟を決める。
携帯電話の着信音が鳴ったのは、そんな時だった。

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