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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2024/11/23 (Sat)

“戦争”が終わった。
14名の死者と、数多くの重傷者を残して。

一つ、息を大きく吐いて、ゆっくりと壁に背を預ける。
度重なる戦闘で消耗はしていたが、致命的な怪我は無い。
身体は重いものの、歩く力はまだ残されていた。

――俺は、今も生きて、立っている。

“ゴーストタウン”での戦闘を除けば、俺の初陣となる“戦争”。
それは、予想を遥かに越えた乱戦で幕を開けた。

事前にチームを組み、密に作戦を立てていた“ラストスタンド”ポジション・【LS1小隊】の面々は早々に分断され、陣形はおろか、同じ戦場で戦うことすらままならない。
本来、最終防衛線を維持するはずの俺たちだが、この混乱の中では、とにかく己にできる事をするしかなかった。

目に付く端から蜘蛛を叩き潰し、ひたすらに前進する。
奴らの拠点を早めに抑えることができれば、それだけ敵の数も減る。
そのためには、出来る限り戦力を集中させる必要があった。

司令部の“コマンダー”からは、まずは西と南に位置する2つの拠点を押さえるよう動き、その中心部にあたる駅前は放っておくように、という作戦が提示されていた。
報告書では、駅前には蜘蛛の繭に囚われた人々もいるという話だったから、【LS1】の当初の予定としては、小隊としての機動力を活かして救援に向かうという選択も視野に含まれ、リーダーの神凪を始めとして、それに賛同する者も多かった。

しかし、6人の小隊が纏まって行動することすら難しいこの状況では。
少人数で駅前に向かい、救援活動を行うのは、ほぼ不可能どころか自殺行為に近い。
戦争そのものを早く終わらせることが、結果的に彼らの救出にも繋がる筈だと、自分たちに言い聞かせるより方法がなかったのだ。


――だが、それでも。
“コマンダー”の方針に反し、大きな危険を冒してまでも、駅前に向かった者は少なからずいた。
宣昭も、紅乃も、そのうちの一人だった。

「あいつらめ、無茶をしやがる……!」

二人が重傷を負った、という報を受け、思わず奥歯を噛む。
行動をともにしていたはずの翳は無事に退却してきたようだが、それを手放しで喜ぶ気には到底なれない。
同じエリアでは、とうとう最初の死者が出ていたのだ。

知った顔が次々と重傷者のリストに加わる中、【LS1】のメンバーも、拠点の攻略中に百鬼と鳳凰堂が深手を負ってしまった。
いずれも、小隊では屈指の使い手だ。戦力の損失は、著しいものになるだろう。
傷をおしてでも出る、と二人とも言いかけたが、ここで無理をさせて命を落とさせるわけにはいかない。
何とか思い止まってもらい、彼らの抜けた穴は、まだ動ける者たちで埋めていくしかなかった。

残りの小隊メンバーは、天城、此花、神凪、俺の4名。
これ以上の戦力の損失を防ぐため、出来る限りの情報を集め、戦況を確かめながら動く。
開戦直後は混乱しがちだった指揮系統も、徐々に機能を取り戻していた。

死傷者の数は、なおも増え続けている。
護るための楯となろうと誓ったはずなのに、いざ戦場に立ってみれば、自分の身を護るのが精一杯のこの状況。
己の無力が、歯がゆく、悔しい。

土蜘蛛を統べる“女王”の領域に辿り着いた時。
小隊のメンバーを見失った俺は、再び乱戦の中にいた。

連戦に次ぐ連戦、ダメージは着実に蓄積していく。
とうとう片膝をついた時、ここへ来る前に交わした言葉を思い出した。

――帰る場所は、俺たちが護る。

約束は、まだ果たされてはいない。
俺がようやく立ち上がったのとほぼ同時に、前方から大きな喊声が上がった。
戦いが、終わったのだ……。

 

程なく、全体の被害状況とともに、最終的な戦況の報告が行われた。

“女王”を含む残存勢力の逃亡。
葛城山を砦とした、土蜘蛛たちの篭城。

この“戦争”は終わっても、脅威が取り除かれたわけではない。
それらが全て片付き、一連の破壊の爪痕が癒えるまでには、まだしばらくの時間を必要としそうだった。

ただ、今は。
仲間たちの無事を喜び、喪われた魂の冥福を祈る。
心も身体も、芯からの休息を欲していた。


まずは、帰ろう――再び、護るべき場所に。


【♪POLAND/ZABADAK】 ※『風を継ぐ者』ver.

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