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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2024/11/23 (Sat)

〔承前〕

「――宣昭」

校門の前に立ち、僕を呼ぶ寅ちゃんの声は、低く静かで。
それだけに、重く胸に響く。

「時間は取らせん。怪我人相手に、長話もあるまい」

そう言って、寅ちゃんは僕の顔を見た。

「――俺の言いたいことは、解っているな」

こくり、と僕は小さく頷いて。
寅ちゃんの視線を、真っ直ぐに受け止める。

「僕は……寅ちゃんとは違う、から」

あの戦場を戦い抜き、無事に帰ってきた寅ちゃん。
そんな強さは、僕にはない。

「ただ、“最後まで立っていた”というだけの話だ。
 それも――かなりの僥倖だったと、俺は思っている」

そう言った後、寅ちゃんはゆっくりと目を伏せた。

「倒れていく者がいると知りながら、止められはしない。
 俺の力など、その程度に過ぎん……」

――だから、お前の気持ちはわかる。

言葉の裏にある、寅ちゃんの想い。
それは、痛いほど伝わった。

「……僕は……戦う、よ」

自分でも驚くほど、その言葉は、はっきりと口をついて出て。
寅ちゃんは、そんな僕をじっと眺めた。

「――止めはせん。だが、犬死にするような真似だけは止せ」

思わず目を丸くする僕に構わず、寅ちゃんは続ける。

「勇気の使いどころを間違えるな。
 命さえあれば、勝てはせずとも、決して負けはしないはずだ」

最初は、引き分けだって構わない。
倒れたって、また立ち上がることさえできれば。きっと、いつかは勝てる。
でも、悔しいからといって無茶をして。それで死んでしまったら、もう“次”はない。

 だから、まずは立ち上がれるようになれ。
 誰かを護りたいと、そう思うのなら。生きることを、諦めるな。

寅ちゃんが伝えたかったのは、たぶんそういうこと。

ありがとう、と言うと、寅ちゃんは「話は終わりだ。早く帰って休め」と、そっけなく答えて僕に背を向けた。
心配かけちゃって、ごめん。もう、大丈夫だから。
まだ、そうやって口には出せなかったけれど。
それでも、僕は、また前に歩ける気がしていた。


――あの悪夢は、きっと、もう、見ない。


【♪ダイヤモンド/BUMP OF CHICKEN】

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