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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2017/05/26 (Fri)

先日、鈴蘭亭に新しい顔が増えた。
伊達鷹一、高校2年生。一応は、俺の中学時代の後輩に当たる。

と言っても、当時の俺に伊達と直接顔を合わせた記憶はない。
あちらの話によると、一方的に俺の噂を聞き及んでいたらしい。

「オレ、先輩ってもっと怖い人だと思ってたっすよ」

俺の顔をまじまじと見る伊達の一言に、若干苦いものをおぼえる。
人の印象とは、一度そう認識してしまうとなかなか拭えないものだ。
伊達の言うそれは、俺が中学時代、桜と出会う以前に残してきた負の遺産に他ならない。


――“手負いの虎”


これが、当時の俺の異名だった。

それは、年末も近くなった冬休みの始めのこと。
散歩の帰り、滅多に通らない道を通ろうと思ったのが間違いの元であったらしい。
人通りのほとんどない路地裏で、俺は柄の悪い連中に囲まれる羽目になった。

「――“手負いの虎”ってのは、お前か?」

問われたところで、答えを返す口など持ち合わせていない。
この手の輩に、自分が裏でそう呼ばれていることは知っていたが、わざわざ認めてやる必要など何処にも感じなかった。

沈黙したままの俺をよそに、連中の一人が顔の傷を指して「間違いねえ」と頷く。
一斉に、男たちの顔が下卑た笑みに歪んだ。

「あんな大層な名前だから、どんなガタイかと思いきや……」
「大したことねえじゃねえか」
「まあ、せいぜい小物相手にいい気になってたんだろ」

見下ろす男たちは、皆、俺より頭半分から一つほど背が高い。
ほぼ同年代であると考えると、かなり体格には恵まれている方なのだろう。

「いいじゃねえか。
 何だって、こいつを倒せばハクがつくだろ?」

連中は4人。
周囲を見渡せば、路地裏といえど最低限の広さは確保されている。
これなら、動くのに支障はなさそうだ。

「てめえに恨みはねえが……そんなわけだ、諦めな」

大体、こういった輩の吐く台詞は、そう個性のあるものではない。
暴力を振るう理由など、何でも良いのだ。


ただ、気に食わないから。
ただ、そこに居たから。
ただ、同類に見えたから。


覚えている限り、俺は自分から拳を振るったことはない。
しかし、この顔の傷につられて、意味の無い喧嘩を仕掛けてくる者は後を絶たなかった。

或いは、最初の一人を返り討ちにしたのが俺の過ちであったかもしれない。
噂は噂を呼び、俺はいつしか、喧嘩屋のレッテルを貼られていた。

ずっと昔から、遠巻きにされるのは慣れている。
人から何と思われようが、どうだっていい。


「――おい、ボンヤリしてんじゃねえよ」

不意に、男たちの一人に胸倉を掴まれた。
少し考えに沈んでいる間、俺は奴らに絶好の隙をくれてやったことになる。
やがて、頬に届く、拳の鈍い衝撃。
直後、俺は相手の顔面目掛けて頭突きを繰り出していた。


〔続く〕

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