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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2024/11/23 (Sat)

【背後より】
某所から発展したとんでもない事態を唐突にSS仕立てにしてみました。
これまでの経緯は、
〔ここ〕〔ここ〕〔ここ〕を先にご覧いただけるとわかりやすいかと思います。
素晴らしくノリの良いキャラクター達とその背後さん達へ心から感謝を!


自分で蒔いた種、という言葉がある。
口は災いの元、という言葉もある。


思いつきと勢いのまま、鴬生ら三人を集め、黙示録で任侠チームを企画したのが俺なら。
立ち寄ったゴーストタウンで鴬生を見かけて、そのあまりに凄まじい戦いぶりに、つい軽口を叩いてしまったのも俺だ。


――だから、これはその報いであり、自業自得なのだろう。
しかし。そうと分かっていても。
受け入れがたい結末というものは、確かに存在するのである。

嫌味なほどに青く晴れた空の下、俺はただ一人、路地裏を走っていた。

俺と同じく、ゴーストタウンで鴬生に余計な口を滑らせた流茶野と、その俺たちを匿った、という咎で騒動に巻き込まれた天城の姿は、今ここには無い。

先の電話で、天城のもとに俺たちが潜伏していたことは既に割れている。
次はもう少し安全な場所をと思い、俺たちは天浦の家を目的地として定めたが、いざ出発した時には、鴬生の気配は既にすぐそこまで迫ってきていた。

追うのは一人、追われるのは三人。
ならば、お互い別の方向に逃げた方が、追う側としては骨が折れるのは必定。

そう悟った俺たちは、天浦の家で再会することを誓い、分かれて逃げることにしたのである。
運が良ければ、誰も捕まることなく、逃げおおせることも可能だろう――


しかし、そんな甘い思惑をよそに、軽口の報いはすぐそこまで迫っていた。
入り組んだ路地裏を逃走経路として選んだのが仇となったか、俺は、徐々に追い詰められつつあったのである。

そう――鴬生は、俺を標的に定めたのだ。

慌てて現在位置を確認するが、そこは既に天浦の家から遠く離れてしまっている。
一旦、別の場所へと避難しようか。
そう考え、ここから一番近い縁者の家を頭の中で検索し――そして、導き出された名前に、慌てて首を横に振る。


如何に、命の危険がすぐそこまで迫っていようと。
如何に、向かう先がどんなに安全であるか知っていようと。

己の失言から生まれたこの事態に、まさか彩虹を関わらせるわけにはいかない。
そこまで無様な生き恥を晒すくらいなら、潔く運命に身を委ねた方が幾分かましというものであろう。


路地の向こうから鴬生の姿が見えた時、既に俺は覚悟を決めていた。

「――うふふー、やっと見つけましたよー寅靖さん♪」

声こそ弾んだ調子だが、そこに含まれているものが“友人”と顔を合わせた喜びではなく、“獲物”を前にした高揚と、無邪気な残酷さであることは容易に感じ取れる。
やや逆光気味で、鴬生の表情がよく見えないのが、今はむしろ幸いに思えた。

鴬生が一歩ずつ距離を詰めるたび、自分が死刑台の階段を上っている、という気配が徐々に濃さを増していく。

先の黙示録で、それぞれが任侠に扮して組んだチームでは、彼女は“女組長”の役柄を与えられていた。
成る程、いざ相対してみると、その迫力はまさしく本物と思える。
自分の喉で、息を大きく呑む音が他人事のように響いた。


やがて、鴬生は、その表情がはっきりと見える距離まで歩を進めた。
予想通り、笑みの形は作っていても、目はまったく笑っていない。
冷たい汗が、嫌な感触を伴ってゆっくりと背中を伝っていく。


「――鴬生、俺は思うんだが……ここは一つ、平和的な解決というわけには」

発端と同じく、いたって安易に飛び出した台詞。
それは当然、鴬生の耳に聞き入れられることなど無いと思っていた。

――この期に及んで命乞いとは、俺も相当、往生際が悪いな。

諦めに似た自嘲が、内心でふつふつと湧き上がる。
その時、無言の死刑宣告を湛えていた鴬生の微笑が、ふ、と寂しげなものへと変わった。

「嫌ですねぇ、寅靖さん……そんなお顔なさらないで下さいな。
 私にとっては彩蟲さんも、大事なお友達ですもの。
 暴力で彩蟲さんを悲しませる事なんて、私にはとてもできないのですよ……」

彼女も心配しておられましたよ、との言葉に、罪悪感が首をもたげる。
確かに、鴬生は情に厚く、友人思いの性格である。
一時は怒りに我を忘れても、根本からそれを裏切るような真似をするだろうか?

そうだ、そもそも逃げたのが誤りであったのだ。
最初から、彼女を信じて大人しく謝罪をしていれば、このような騒ぎになることもなかったはず――

肩の力を抜き、改めて彼女に詫びようとした、その瞬間。


「渕埼寅靖―――――――!」


名を呼ぶ声に、見上げた空。
そこから一直線に、自分を目掛けて降ってくる“悪夢”。

思わず鴬生を振り返り、そこに浮かぶ微笑に“獲物”を捕らえた悦びの色を見出した時。
俺は、全てを理解した。

この逃走劇が、鴬生の描いたシナリオ通りに展開されていたという絶望と。
そして、これから自分が辿るであろう運命を。

 


――真の地獄は、まだ幕を開けたばかりだった。

 

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 渕埼・寅靖は若女将(総代)の仕置で深刻なトラウマを負いました。
 完治にはあと∞日間が必要です。
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〔何処かに続く〕 

〔何処かの裏側〕

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