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(株)トミーウォーカーのPlay By Web『SilverRain』『無限のファンタジア』のキャラクター達の共用ブログ。
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2024/11/23 (Sat)

〔承前〕

空ちゃんに連れられて来た海。
波は静かで、潮風が涼しくて気持ちいい。
あちこち身体は痛いけれど、それでも心地良かった。

「少しは自分の実力ってのをわきまえなよ。
 ……あんたは、寅じゃないんだからさ」

砂浜に寝っ転がる僕に、空ちゃんが言う。
呆れ顔でも、心配してくれてるのがわかった。

「このくらいやらないと、強くなれない気がしたんだ」
「強くなる前に死ぬよ?」
 
空ちゃんの言葉に、脅かすような調子はまるでなくて。
だから余計に、その重さが伝わってくる。
僕は弱い。自分ひとり、守れないほど。
 
「あは……それは、困るなあ……」

溜息といっしょに、つい、弱気が口をついて出る。

「――空ちゃんに、会えなくなっちゃう」

今のままじゃ、きっと、空ちゃんの力になれないと思う。
だから、もっと強くなりたい。

僕はまだ、ただ空ちゃんの隣に居るだけ。
そうじゃなくて。
何があっても、支えられる強さが欲しいんだ。

「だったら無茶は……」

言いかけて、空ちゃんの声が途切れる。
我慢できなくなった涙が、次々と、僕の頬を伝って零れていた。

ごめんね、空ちゃん。僕は、こんなに弱いから。
心配させて、迷惑ばかりかけて、ごめん。

「我慢しなくて良いよ――今日は、許す」

優しい声と、頬に触れる指が、とても温かくて。
僕はまた、声を上げて泣き出した。
空ちゃんは、ずっとそばで見守ってくれていて。
それがとても、嬉しかった。


「まずは泣かないのが一番じゃない?」
「……あは、そうかも……」 

しばらくして、ようやく泣き止んだ僕を見て空ちゃんが笑う。
ぐずる鼻をすすって、僕は砂を払いながら立ち上がった。
身体はまだ少し痛いけど、もう平気。

「シャツに鼻水つけたら、怒るよ」

そう言って背中を向けた空ちゃんについて、バイクの後ろに乗っかる。
見上げた空は、やっぱり綺麗に晴れていた。


【♪醒/陰陽座】

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